わたしたちが生きていくうえでの最大の難事は、自他関係であろう。生きている以上、蓋し死んでからも、自他関係から逃れることはできそうにないし、わたしたちの大概の問題は、そこで生じ、そこで解決されるしかないわけである。だから、自他関係について考えることが、自分の生き方について考える際の要諦となる。ところが、自他関係について考えるとは言っても、多くの場合、当該他者への関心をもっぱらとしていて、自他関係そのものを反省しているわけではない。自他関係を根源的に対象化するためには、いちど徹底して自他関係を断ち切らないといけないのだが、たいていは中途半端で終わっている。結果として、自他関係を単なる倫理上の問題やコミュニケーション上の問題にすり替えてしまうことになる。むしろ自他関係において問われるべきは、自分にとって他者はいかなる意味をもって存在しているのか、ということである。それを問うためにはまず、純粋に自分自身に目を向け、自他関係を完全に断ち切る必要がある。その方法論を理解することが、つづら塾での学びの大きな目標となる。